造作もない

 

風呂の湯に頭から突っ込んだ。

ほとんど衝動だった。

途中で全裸はいやだと思い直して、やめた。

 

そのあとは脱衣所でバスタオルだけかぶって、しばらく土下座の体勢でいた。なにをやっているんだろうと思った。上の階から聞こえるうめき声に吐きそうだった。

そのときのわたしには立ち上がることも、服を着ることもむずかしかった。臆病な自分が突然しのうとするなどしんじられない。

だれかに連絡をとろうとはまったく思わなかった。これは自分の問題で、他人に干渉される部分じゃない。わたしは思っているよりもひとりで生きている。やっぱりひとは、ひとりで生き死にするんだ。

わたしは、間違ってなんかいない。