珈琲の香り

最近、喫茶店のマスターが言った「また来いよ」はその次「また来いよ、絶対。」になった。さらにその次はDVDを渡して「観たら返しに来てくれ」と言った。私の病状が悪いことにマスターは気づいているのかもしれない。死にたいと思ったことにも。もう死のうとなんて思うなよ。そういう風に頭の中で解釈された。

私は辛いとき、いつでも喫茶店に行く。辛くないときでも行く。喫茶店は、いつもそこにある。頼むのはいつも本日の珈琲と日替わりのケーキ。おかわりもしないのに何時間も長居する私に嫌な顔せず、むしろ早く帰る日にはマスターが「もう帰っちまうのか?」なんて言ってくれる。暖かい空間と、珈琲の香り。生きてる意味とか自分の価値とか考えてしまうこんな世界は殺したいほど憎いのに、涙が出るほど暖かい。

ラッキーカラーは青と緑。前回マスターの言った通りの色を身につけて、明日は必ず喫茶店にいく。まだDVD観てないのか!と叱られるかな。暖かい。大好きな場所。

文章は文字でしかなく、文字は文字でしかない。文字ではひとを動かせないかもしれない。だからこれはただのひとりごとだ。だけど私は、書かなければならないと思う。私にしか書けない言葉が、明日からも続いていく。