浅い呼吸


会社を辞めます。こんな簡単な言葉がどうしていつまでも言えないんだろう。

これ以上、迷惑をかけられません。

これ以上、わたしは、

わたしは。

 

恥ずかしい話だけれど私はこれまで、自分はちょっと人より優れているんじゃないかと本気で思っていた。

暑いとか寒いとか苦しいとか、そういったことにも敏感でいて、それが正しいと。

でも私が思っていたより社会はずっと広くて、理不尽で、人が多くて、

私はちっとも可哀想なんかじゃなかった。

被害者面して生きていたいだけだった。

ハンデを負ってるふりで、今も誰かに許してもらおうとしている。

 

思い返せば自分は最初からそういう節があったと思う。

どこかで他人を見下している。


それなのに他人と話をしていないと、仕事が捗っていないと、執筆をしていないと人のかたちを保てなくなるほど臆病なのだから、たちが悪い。

自分を直視するのはいつでも、鋭く痛んでびりびりするんだ。

 

よくみて、さわって、たしかめて。

痺れてきた頃に、期待させるような

 

そんなこと、ばっかりだ。