海の中に花が咲かないのって、天は二物を与えず みたいなことなんだろうか。
もし海に花がたくさん咲いたら あまりに美しくて、ひとは無理にでもそこに移住しようと考えたかもしれない。
わたしはとっくに海に身投げしているかもしれない。
自分の浅はかさに笑えてくる。
昨年の夏、突然どうしても水族館に行きたくなり、ひとりで押上まで行って年間パスポートを買った。それからわたしは時間も人の目も気にせずにいくらでも魚を眺めることができる。
魚は泳ぐ
好きなひとたちを思う
ひどく寂しそうな顔に、気づかないふりでやり過ごす
魚は泳ぐ
わたしはまたひとを傷つける
最低に成り下がっても生活は、何も変わらない
魚は泳ぐ